Procoralan(ivabradine)*で心臓発作減少  欧州心臓学会で新臨床研究発表

【バルセロナ(スペイン)31日PRN=共同JBN】31日ヨーロッパ心臓病学会でBEAUTIFUL試験に参加した狭心症患者グループの解析で重要な新知見が発表され、心拍数低下薬Procoralan(一般名ivabradine*)により心臓発作が42%減少されることが明らかとなった。この効果は安静状態の心拍数が70拍/分以上の患者で特に顕著であり、Procoralanは心臓発作による入院のリスクをほぼ4分の3に、血行再建術施行率を半分以上減少させた。         

この結果により、Procoralanの狭心症患者に対する主要心血管イベント減少効果が明らかとなった。     ポーランド・カトウィツェのシレジア医大のテンデラ(Tendera)教授は「Procoralanは既に狭心症の症状を緩和することで知られている。    これらの新しい知見は、Procoralanが心血管イベントを予防できることをも立証した」とコメントした。     

この印象的な効果は、BEAUTIFUL試験における狭心症患者のサブグループ解析で得られた結果である。狭心症は冠動脈疾患(CAD)で最もよく見られる症状であり、患者の生活の質に深い影響を与えるとともに予後にも悪い影響を与える。今回の解析で、Procoralanはすべての狭心症患者について全パラメーターを改善して、一次エンドポイントである心血管死、心筋梗塞、心不全の複合エンドポイントを24%低下した。

また、Procoralanは致死性、非致死性の心筋梗塞による入院を42%減少させた。この効果は、心拍数が70拍/分以上の狭心症患者でより際立っており、心筋梗塞の発症リスクは73%も低下した。また、冠動脈血行再建術の必要性もProcoralanの治療により減少しており、すべての狭心症患者で30%、心拍数が70拍/分以上の狭心症患者では59%も減少した。

総数1507例の狭心症患者がこのBEAUTIFUL試験のサブグループ解析に登録され、その半数は試験開始時に心拍数が70拍/分以上であった。ほぼすべての患者は心血管イベントを予防する目的の通常治療を受けており、約90%の患者にはベータ遮断薬が投与されていた。

以前発表された1万917例の左室収縮機能不全を伴う冠動脈疾患患者によるBEAUTIFUL試験の結果では、心拍数が70拍/分以上の冠動脈疾患患者においてProcoralanが致死性、非致死性の心臓発作を36%(P=0.001)、血行再建術施行率を30%(P=0.016)減少することが明らかにされた(注1)。

狭心症はすべての冠動脈疾患患者の半数に現れる症状であり、狭心症の存在は患者の予後に悪影響を与える。Procoralanは過去20年の安定狭心症治療における最も重要な進歩のひとつである。Procoralanの抗狭心症及び抗虚血作用は、単剤療法(注2)あるいはベータ遮断薬との併用療法共に十分に証明されている。ベータ遮断薬をすでに投与されている狭心症患者において、Procoralanの追加投与は有意に総運動期間を延長した(注3)。BEAUTIFUL試験の実行委員会の共同委員長であるK・フォックス(K. Fox)教授は「Procoralanの狭心症患者における心血管イベント予防に関するこれらの新しい知見は、狭心症患者の治療戦略をさらに前進させ、Procoralanの必要性を一段と強化するものである」とコメントした。

この試験はフランスの有力な独立系製薬会社セルヴィエより資金を受けている。

*     ivabradineは国によって Procoralan(登録商標)、Coralan(登録商標)、Coraxan(登録商標)、Corlentor(登録商標)として入手できる。

(編集者ノート)

▽冠動脈疾患(CAD)について

冠動脈疾患(CAD)は虚血性心疾患としても知られ、心臓疾患の最もよくあるタイプである。CADは世界の死亡例の代表的な原因であり、今後20年間も同様な状態が続くと予測されている(注4)。毎年約380万人の男性、340万人の女性がCADで死亡しており(注5)、2020年にはこの疾患は世界で総数1110万人の死亡の原因になると推測される(注4)。

 CADは何年も発見されず見過ごされることがあり、突然急性の心臓発作として症状が現れる。CADは検診で発見される無症候性の沈黙の病気のこともあるが、患者の大多数には症状が現れる。その症状は、運動やその他の要因による胸痛である狭心症を起こし、心不全につながって生活の質に大きな影響を及ぼす。CADはライフスタイルの改善や医療管理の進歩にもかかわらず、世界的な健康問題としてとどまっており、新しい効果的な予防治療の必要性が求められている。

 参考文献

 (注1) Fox K, Ford I, Steg PG et al. Ivabradine for patients with stable coronary artery disease and left ventricular dysfunction (Beautiful): a randomized, double-blind, placebo-controlled trial. Lancet 2008, 372, 807-816.

 (注2) Tardif J-C, Ford I, Tendera M, et al. Efficacy of ivabradine, a new selective If inhibitor, compared with atenolol in patients with chronic stable angina. Eur Heart J. 2005 ; 26 : 2529-36.

 (注3) Tardif JC, Ponikowski P, Kahan T; ASSOCIATE study investigators. Efficacy of the If current inhibitor ivabradine in patients with chronic stable angina receiving beta blocker therapy: a 4 month, randomized, placebo-controlled trial. Eur Heart J. 2009;30:540-548.

(注4) Mathers CD, Loncar D. Projections of global mortality and burden of disease from 2002 to 2030. PLoS Med. 2006 Nov;3:e442.

(注5) WHO. The global burden of disease: 2004 update. Available at:

http://www.who.int/healthinfo/global_burden_disease/2004_report_update/en /index.html.

(了)